当社は往古より婦人病にご利益があると云われており、そのご利益にあやかろうと足袋裸足でお百度する人々が後を絶たなかった。

以前より当社に足繁く参られていた植物学者が、ある時神社の樫の木に瘤(こぶ)をみつけて言った。

「此の瘤(こぶ)のある樫の木は、木の癌病にかかっています。この瘤を一心に心を籠めて撫でると癌にかからないし、悩みや癌病を吸い取ってくれる。このことを廣く世の人達に知らせて下さい」

時あたかも癌病が騒がれ始めた頃であり、当社の癌封治は往古よりの婦人病のご利益と、この言葉が結びついた信仰だと伝えられる。

以来、噂を聞きつけた人々が全国から参られ、人から人へ口伝てで広まり、癌封治の神社として広く知られるようになった。





癌封治瘤の木

もともと樫の木には、悪病を吸い取る霊木だという言い伝えがあり、古来よりコブや吹き出物を取るなどと言われてきた。

また、悪しき物を吸い取るという事から、不幸や災いを吸い取るとも伝えられ、近世では癌(ガン)を吸い取るとして全国的に広まっている。

癌にかかった樫の木のコブを一心になでることにより人の悪病・癌病を封じてくれると伝わる。

現在では、多くの人が御参りの後、この樫のこぶをなでている。